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◆感想
6月6日、6年ぶりにTKソロライブへ参戦しました。俺は30代、TKは40代と、十の位がレベルアップしました。WhoseBlue を聴きこんでいたらいつの間にか6月。チケットぴあをなんとなく確認したら、一般販売でチケットが残っていたので、息を吸うように購入。購入自体は6月4日だったので、ライブ当日ギリギリに滑り込みで参戦ということに。実は直前までSyrup16gのライブチケットとTKソロでどちらを取るか、脳内争奪戦が起きており、前者は水曜日、後者は金曜日。勤務形態の都合で土日週休2日なのが決め手となり、TKソロを取ることになったのでした。
とはいえ、8日日曜日(翌日仕事)は東京喰種の公演が控えていたので、結局は翌日寝不足に陥る羽目になるんです。しかも6連勤だ。やられたね(後日風邪を引いた)。
というわけで、当日。埼玉にある職場を定時退社し、いつもとは逆方向の列車へ飛び乗っていざライブ会場へ。新橋からゆりかもめ経由でZeppDiverCityへ。既にあたりは薄暗く、雲行きも怪しい。如何にもなライブ直前の空気でした。新木場STUDIO COASTでシロップと時雨が対バンしたエラフォっぽい雰囲気もあった。
――ライブ開始直後の急な暗転が好きで、その瞬間から非現実的な世界へ連れて行ってくれるのがたまらない。6年前のあの血圧が爆上がりする感覚よ、再来。
※覚書なのでMCは順番が前後している可能性あり。
OPSE「GRANT」
1「Microwaver」
後になってこの曲の和訳が"電子レンジ"だと気づいた。つまりこれは電子レンジの歌。
TKは昔電子レンジでカジキマグロをチンしたらラップが溶けたって話をしていたから、それで後述の単語を頻繁に使っていたのだろうか。
2「クジャクジャノマアムアイア」
会場の後ろから後方彼氏面しながら見てましたが、手を振りかざす人が多い。
MC
「エキサイトしてますか?」
「僕らも…」
途中セリフが飛んで両腕広げたままフリーズするTKで観客「???」からの笑い
「(仕切り直して)エキサイトしてます!」
この時点でTKが過去一テンション上がってる雰囲気を晒しててビックリ。
カジキマグロがエキサイトしたという元ネタを知ってるとニヤついてしまう。
3「Synchrome」
ギターの手ばかり凝視してました。4「flower」5「phase to phrase」
いにしえの曲を披露してくれてとても嬉しい。花咲いて洪水に全部攫われる。6「Shandy」
3人組での曲だけど、こっちで披露する機会多いよね。思い入れ強そう。7「orbit」
今回新譜の推し曲、満を持して。後方のスクリーンに純度100%(TK本人監修)の映像が映し出されてた。8「Dramatic Slow Motion」
中間に挟まれるバラード曲でシン…とした時にこの曲が来ると本当丁度いい。9「Katharsis」
イントロがアレンジされてて一瞬「なんの曲だこれ?」ってなった。10「musique」MC
解き放たれる瞬間がよかったです。コンパクトに中央でまとまってた演奏が、より外側に配置されてるベースとドラマーを加えて広がっていく演出に心打たれました。
「わかりますか?黒のピックです」って言っても急にピックを観客に飛ばす 飛んだ方向から「うおおお」って声が聞こえた。
また急遽、ドクターストップでベースは代役のヨシダタクロー氏。1~2日で演目を仕上げてくるってとんでもねぇ人だなって思った。「ジェバンニが一晩でやってくれました」感。いやでも、ライブ終了時にTKがハグするってことはそれだけ嬉しかったんだろうなーって。ベーシストが不在でピンチなところを助けてもらったんだし。すげぇよ。
11「P.S.RED I」
めっちゃ両腕上げて煽るTK。いつにも増してテンション爆上がりなのって珍しく感じる。今日は本当にTK本人もめっちゃ楽しそう。前述の件もあってドーパミン凄いんだろうな。こっちもハラハラワクワクでした。12「first death」
散々聞いた。チェンソーマンアニメはリアタイしてたから。デンジ達が音楽で生きている、そう思えてなんか、とても嬉しかった。これのインストバージョンだけでも凄くカッコいいから、本当歌詞が無くてもその時点で完成度が高い楽曲だなって思う。この時から既にレベルアップしまくってる、底知れねぇ男だ。観客の手拍子が印象的だった。「パンパン!!」13「Whose World? Whose blue?」
アルバムの〆に相当する歌モノ。「お前に何ができると睨んでくる、まだ動けない」とか「こんな僕の小ささで~」からエンドに向かっていく。TKが辿り着いた境地は、果てよりも果てしなく、世界の果てを飛び越えて「どこか」へと本当に消えていきそうな感じ。そんな彼もMCで「一緒に消えましょう!」と手を引っ張ってくれたので、TKが遠くに逝ってしまうという一抹の寂しさまでもが消えていく。TKがあんなでかい声で「ありがとう!」って言うてたの初めて見た。EN~MCEN1「誰我為」
ワントーン低かったから「うわぁキツそう」などと勝手に心配した。いきなりハイトーンから始まるタイプの曲(12th laserとか)は特に後半になると厳しいのかなって。次の曲で杞憂に終わるんだけどもさ。EN2「unravel」
実家のような安心感。何度も聞いた。いろんなバージョンで何度も聞いた。この10年間。名曲とはバラードという認識の強い一般人だから、unravelは名曲かと言われたら……俺はそうじゃないと思ってる。東京喰種のイメージをより強く明確に結びつけた、TKソロというプロジェクトを全世界に届けるきっかけとなった一曲という立ち位置だなと思う。MC
"限界"を感じるよりも、"どこまでいけるか"でポジティブになってたTKまじで無理しないでね。前述のMCの時ぐらいからTK本人はかなりハイになってるのも、ひょっとしたら「これまで以上にギターヒーローTKとして、どこまで皆の前で想いを届け、還元させるか」という"人生の折り返しが近づいてきた"と感じさせる年齢故なのかなって思ってしまった。自分がそう。30代とはいえ2倍にすれば60代。人生はまだまだこれからとはいえ、折り返しの岐路に立ちつつあるんだから。
最近特にTKのその歌唱力だと、喉がいつ限界を迎えてもおかしくない状況だし、世界情勢を加味すると殊更彼自身がどのくらい生きていけるのかすらわからない。WhoseBlueがラストアルバムになる可能性だってある。ライブ自体も、「喉が枯れないか」「超絶技巧ギターテクを披露できるのはいつまでか」なんて恐怖心を内包した感じで見がちになってるし。それでも彼は「どこまでいけるのか!」と前向きな姿勢に安堵するんですよね、ヒロアカタイアップしただけにプルスウルトラしてる。本当身体と身の回りの異変には気を付けてください(ただのオタクのお気持ち長文)。EN3「UN-APEX」
で、"限界"と"どこまでいけるのか"というワードが出たとこで、ゴリゴリロックナンバー。アニメも無事完走したので「あの曲やらないのかな」ってソワソワしてましたが、最後のトリで来るとは思わなかった。ありがてぇ……。間奏のギターがカッコよすぎる。アニソンのタイアップって感じがしない。ライブ化け凄かった。最後にはギターを放り投げ(?)、去り際にベーシスト・マツモトタクロウ氏とハグしてた。
ENDSE「ephemeral mist」
一瞬ダブルアンコール!?かと思ったけど、この曲がシメらしく、 終わるまで非常灯つかなかった。いつも通りにギターハウリングのフェードアウトでライブ終了と思った観客がぞろぞろと出ていく中、前方は聴き入ってほとんどの人たちが残ってて。自分の周辺は1名除いてほとんど会場を出て行ってました。会場の真後ろで、ほぼぼっち。この曲も終わると非常灯が点り、あらためて開演終了のアナウンスと拍手が上がるのでした。久しぶりのTKソロ、楽しかった。あと何回来れるかな。
TK「金曜の夜は大切な予定がたくさんあると聞いてます。大丈夫ですか?(腕時計のことをジェスチャー)ありがとうございます。僕たちを選んでくれて」そう言って一緒に過ごす時間を作ってくれるTKには感謝しかなく、「僕たちを選んでくれて」だなんて言われたから、自ら推しでTKを選択したという行為に対し心救われました。ええ、ほんと、こちらこそ、ありがとうございます。ずっと俺たちのギターヒーローでいてください。
21時を回ったお台場。生ぬるい風が吹いていました。余韻に浸りながらゆりかもめで新橋へ。
帰りは宇都宮線が事故で止まってしまい、帰宅は0時過ぎになりました。次は明後日の東京喰種PLAY BACK。つかの間の休息。次週6連勤だということを忘れて(白目)。
13番線に入ってきた宇都宮行きに乗り込む。この間に2本の列車が地上ホームに到着し折り返していきました。そしてこの列車は宇都宮行きの終電に。
「haze」
「fourth」
「first death」
圧倒的パワーを感じる。PR -
◆BVEの話(はじめに)
先月「でんちょく電機」のでんちょく氏が、クラウドファンディングで全金属製のマスコンを製作することが話題となっていましたが、その流れでのBVE界隈での出来事について考える時間ができたので、こちらも色々書き遺しておきます。単独記事ですが、かなり長いです。
◆BVE2時代から身近に楽しんだ一人として
BVEとの出会いは、2005年(mixiが主流だった時代)。ネットサーフィンでたまたまヒットしたのが始まりです。自宅は狭く、小さいアナログテレビな上、TVゲーム禁止の家庭でした。当時からデスクトップPC越し(WidonwXPでブラウン管モニター)に、実写映像を使用した「京王線」「千歳線」「井の頭線」などを運転していましたが、映像はカクカクで一部区間のみ実装。最初は面白みを感じていたものの「もっとリアルな運転がしたい、電車でGOみたいにリアルなゲームがしたい」などと、当時小5だった自分は運転することに飢えていました。
この頃はまだ、発車メロディーサイトが活発だったので、それと並行する形で没頭しており、毎日のようにPCにかぶりついてはIEで「リアル電車運転ゲーム」などと検索しては探していました。「おぱく堂の電車走行キット」なんかも、その時に発見してます。そして気づけば、当時のBVEサイトに行き着きます(トップページは、BVE2と4のアイコンが表示されており、それぞれのバージョンへリンクしているデザイン)。経緯は忘れてしまいましたが、はじめて運転した路線は「電車の車庫」様の「りんかい線」と、「RON'S BVE」様の「松浦電鉄本線・松浦浜線」。特に架空鉄道の松浦鉄道が沿線をリアルに再現されていたこともあり、「実在路線は殺風景でつまらない、架空鉄道は沿線がリアルで楽しい」という一種の偏見を形成させていきます。
その後は、舞姫様の柏鉄道フォーラムにたどり着き、そこで色々な路線に触れていきました。現在でも活動されている中野かずさ氏の総武線・東金線や、ノ付氏の飯山線、高橋うさお氏の国鉄相模線、東横線ATS時代(8000系ver)、田園都市線(2ver)、世田谷線、江ノ島電鉄、近鉄大阪線(上本町→桔梗が丘)、竹露庵様の井の頭線および五能線などなど、プレイしたのもこの時期。すごく楽しませていただきました、自分にとっては尊敬すべき人たちです。で、当時は恥ずかしながら、小学生でパソコンの知識が不十分だった自分にBVE本体のダウンロード方法なんて1ミリも理解できず。「掲示板は怖いサイト」だと学校で教え込まれていたので、父親に頼み込んでインストールしてもらいました。慣れた頃には、自分でデータを入れられるようになったので、フォルダ内は古今東西・実在路線~架空路線まで、かなり膨大な量のデータが入っていました。そのHDDは今もどこかで保管されているんですが、今後何らかのタイミングでデータを発掘できて、運転できたのなら、俺は死んでもいい。…大げさか。
BVE2時代、特に頻繁に遊んだ路線を下記に列記しますが、これらすべてを「知っている」「運転したことがある」という方は、ユーザーとしては俺と同じ歴戦の猛者です。仲間です。SNSを知らない時代から遊んでいたので「自分だけが知っている、秘密の架空路線」という、もはや記憶の中だけで生きている失伝作品なのですから。
◆BVE2~4時代に遊んだ路線(架空鉄道)
①松浦電鉄本線・松浦浜線
ご存じ車両オブジェクトは昔から変わらず有名。RON'S BVEによる架空鉄道路線。特に運転していたのは、松浦浜線。東急沿線民になじみ深いモーター音を響かせて運転できる700系が特に好きでした。複線区間、併用軌道、単線区間、海岸区間、トンネル、車庫、縦列停車できる終着駅(当時ATSの確認がわからず、しょっちゅう非常ブレーキがかかり停車できなかった)。対して本線は、どこか京阪と京急らしさを混ぜ合わせたような路線。120km/h運転で複々線を駆け抜けるのが爽快。松電山崎駅からは空港線に入り、途中の石川町駅まで運転できましたが、そのまま杉浦空港駅まで延伸は叶わず。
②平上鉄道平上線・布川線・西内線・吉田町線
BVE2時代、特に有名だった路線です。伝説の路線。京王線をベースとしながら、名鉄や京急の要素が入っており、特に自分がとてもドはまりしていた路線。当時は平上本線、布川線、西内線、吉田町線がプレイ可能で、種別も多種多様。平上本線各駅停車では、当時BVE2では画期的だった「運転形式のランダム選択」を採用していました。データが少々重いというのが弱点でしたが、それでも後述する路線に比べたらまだマシです。現在製作している青陽電鉄も、平上鉄道時代から続いていた「架空路線を作りたい」が原動力となっており、20年を経てようやく実現にこぎつけたので、今でも思い入れのある路線としてリスペクトしています。ちなみに大倉線という山岳路線も存在していましたが、こちらは運転できず。東急沿線の人間として嬉しい作品でもあったので、二度と日の目を見れないのは残念。下記に印象に残っている部分を紹介。
平上線:平井~布川台~川名橋~遠山台~小林中央~平電長沢~坂本~大倉山~伊藤新町~八巻~上村町(目まぐるしく変わる景色、長い路線、トンネルや橋のバランスよい配置、過密運転、バリエーション豊富な踏切音にベル、通過待ち合わせの再現)
布川線:内海~下布川~川名橋~布~奥布川(のどかな平地区間から川名橋を境に山岳区間へ変貌するストーリー性。当時指定車両が空気自動ブレーキだったので難しくて運転は避け気味)
西内線:西内~下布川~師蒲~小林中央(師蒲→藤棚を経て、紅葉坂・権太・遠山緑ヶ原で3駅連続の半地下構造駅というトンネル好きにはたまらない面白さ)
吉田町線:伊藤新町~見明山~あすなろ台~吉田町~橋本(運転区間は短かったものの、町の密度はよりリアルで現実的)
大倉線:大倉山駅手前から、大師線のように分岐して地下ホームへ繋がっている路線だった気がする。途中に椿地蔵という名前の駅もあったような。
③はまかぜ高速鉄道東西線
saitamadragon氏のサイト「融合壱六零」にて公開されていた架空路線。当時足立学園様の鉄道研究部が「ATC鉄研マガジン」というサイトで「秋篠市営二条町線」を公開しており、駅名と車両にこだわりを感じさせる完成度の高い路線でした。
(駅名:上洛二条町-?-秋西-淡行町-境丘-?-森若口)
上記の地下鉄路線をさらに延伸させたのが「はまかぜ高速」で、地下鉄とは打って変わり、通勤型車両が130km/hで走行するというTXリスペクトなオリジナリティあふれる路線でした。車両もさらにレパートリーが増え、個性的ながらも現実に寄せた車両デザインが魅力でした。東武をイメージした車両が多く、運転出来た車両には「10030系似で、交通局の白い悪魔のモーター音を出す車両」や「東武20000系の鋼製版且つ2扉で最高速度200km/h」とかいうエグい性能の車両、青電1000系デザインの参考になっている電機子チョッパ制御を装備したやや古めな車両など。自動放送も、この当時としては貴重な「女性アナウンス」を採用しており、メロディーも多彩で、沿線風景もすべて手作り。車両オブジェクトは車内も個別に再現するなどとクオリティは段違いでした(レインボーブリッジみたいなデカい橋を走る区間もあった)。青電の影響はここでも結構受けています。特に1000系や2000系あたりはこの路線のアイデアが元と言っても過言ではないです。※元は青電も別の路線名で、ATC使用の130km/h運転・6両編成前提で作っており、変更に伴って標準軌から狭軌への改軌、編成両数の長大化をおこなって現在に至ります。
駅名もなかなか個性的でした。15年以上昔ですが、全駅覚えてるので記載します。推しなので。
森若口(もりわかぐち)
:地下の巨大ターミナル駅。発着番線が多い。
新濃瀬町(しんのせちょう)
:二層式、出口は左・屈強なホームドアと大井町みたいな地下駅。
舞出筋(もうてんすじ)
:上に同じ。
沢曲(そうま)
:上に同じ・ただしホームが右側になる。
哲木(あきぎ)
:2面4線の退避可能駅。普通はここで通過待ちのイベントがあった。
八桜寺(はちおうじ)
:地上へ出て初めての駅。掘削区間にあり、島式1面2線、外側に通過線。ホームドア無し。
五辺流瀬(ごべながせ)
:おそらく二層式、出口は左・屈強なホームドアと大井町みたいな地下駅。
流瀬の大堰(ながせのおおぜき)
:哲木と同じ構造だが、五辺長瀬とは駅間が短い。
岩水寺(げんしょうじ)
:五辺流瀬と同じ。この先で地上に出て、交直デッドセクションを通過する。
高速秋篠(こうそくあきしの)
:いわゆる要塞型で、地上にJR秋篠線(十字交差)、3層目に月山線ホーム。
浜賀津川(はまがつがわ)
:高架区間で、対向式2面2線。ホードアは東急目黒線タイプ。発車メロディーがベル。
鳩山(はとやま)
:第二千曲川橋梁っぽい橋(通称風の橋)を渡り、掘削区間の駅。構造は上と同じ。
櫟東(くぬぎひがし)
:ほくほく線に似た構造の対向式ホームな駅。車内放送でもホームに残るなと注意される。
くぬぎ台(くぬぎだい)
:公開区間としては終着駅。外側本線、内側待避線の対向式2面4線駅。
以降は、はまかぜ林間、軍艦センター、はまかぜいこいの森公園、囲温へと続いていくはずでしたが、くぬぎ台で打ち止め。さらに囲温駅から先は別作者と相互直通運転していた…という、絶対誰も知らないであろう設定がありました。
④東都高速電気鉄道
ブラックジャック氏による「BVE鉄道開発部」で公開していた架空路線。こちらは都会の通勤路線をイメージして、緑基調の10両編成が往来する路線。駅には多数の乗客オブジェクトが配置されて非常に賑やか。それゆえにデータは非常に重い部分もあり、運転は大変でした。特に個性的だったのは、水色一色で、313系をイメージしたような特急型の10000系電車。IGBTであろうモーター音を聞いた瞬間惚れてしまい、わざわざ軽量版(車両データをコメントアウト)を自分でこしらえて運転してました。(当時からデータの重い原因は車両オブジェクトだった)
路線は山瀬駅から高架複々線区間の外側を走り、上崎中央駅で地上に出て、住宅街区間に入る。そして川を渡り、トンネルを2つ超えて隣町のターミナル駅へ至る。日中バージョンの急行と、夕方ラッシュバージョンの特急のデータがありました。すごく楽しかった。青電でも「上崎駅」がありますが、ここから取ってきています。
⑤蛇腹沼鉄道
内容としては、甲北本線の性格に近いかもしれない。国鉄型車両を運転で来る架空鉄道で、山岳区間の再現が非常に魅力的だった。大沢田駅を起点に、単線区間を経て複線区間へ。かなりの長距離路線で、一時期はBVE4でも運転できたものの、現在はダウンロードできず。こちらも車両データを同梱していました。駅名は覚えている限りだと…、大沢田、暮(くれ)、暮谷(くれだに)、日向矢和田(ひなたやわだ)、人里(へんぼり)。101系や113系115系、165系が車両データのレパートリーにあった気がする。最終的には銀城鉄道という名前に変わってました。
⑥神奈川鉄道・浜急行鉄道
通称、神奈鉄線・浜急線。こちらはホームページが残っているので興味あれば調べてほしい。実在する地名を基に拵えた架空路線です。現在では当たり前となっている他者との共作ですが、こちらは多くのユーザーと路線を共有し合って相互直通運転しており、各作者同士で車両オブジェクトを譲渡車設定としてリースしたりしてました。気の知れた仲でないと、他社のデータを自路線用に譲渡改造する…みたいなことは出来ないと思う。作中でも時間が進んでおり、当時は現役だった5000系が引退していたりと、リアルタイム性にも定評があったと思います。こちらも車両データが重く、Object欄から車両データをコメントアウトして運転してました。当時のXPがもう少し性能が良ければ…。ちなみに直通路線の一つであった東奈急行の作者様は現在、城東急行電鉄を公開されており、あの頃の世界観(神奈川県感)を残しつつ、個性的な路線を作られております。私も運転しております、なかなか面白いぞ。
⑦胡桃ヶ崎鉄道・寺野鉄道
「ぴゅあぴゅあとれいん」の鳥風瞬様の作品。YouTubeで転がっているので調べるとすぐ出てきますが、それとはまったく違う路線を公開していた頃のモノです。岬浦線、桜山線、夏優線、座見線という名前だったはず。東海色や末期色の車両が魅力的な関西をイメージする路線ですが、113系ベースの車両や、車両紹介に記載されていない謎多き車両たちのオンパレードで、車両好きにはたまらないデータでした。オブジェクトビューワーでひたすら全車両眺めてましたね。湘南色のオーシャンアローとか、両開き2階建て1両編成車両とか。特に桜山線が面白かった。始発駅は山の中らしく、複線ながら長大トンネルで山下りをし、市街地へ出るというシナリオ。沿線風景は殺風景ですが、線路回りが非常にしっかりしており、長距離ながらすごく楽しませてもらいました。二見線が途中で終わってしまっているのが痒い…。
⑧京滋阪奈急行電鉄・中丹萌硫黄の丘鉄道
上記と同じく「ぴゅあぴゅあとれいん」による作品で、こちらは関西を舞台にした架空路線。沿線が殺風景ながらも地形に富んでおり、距離も長く、すごく楽しませてもらった記憶がある。駅名には「手原駅前」「ダイハツ前」「雪見坂」「綾部市」「福知山駅前」「長田野工業団地」「北近畿空港」というのがあった。車両もやはり京阪や阪神をイメージした車両が多く個性にあふれていた。
⑨猿投鉄道・東海地方鉄道
もりぞーうぇぶ様の愛知県を中心に展開していた架空路線。石野から当時の名鉄三河線と接続する枝下を通り、トンネルで山を貫き、八草駅、本郷方面へ向かっていました。車内放送はおそらく「ゆっくりボイス」。田舎の地方私鉄な区間から、やや線形が整った地下区間を走る二度美味しい路線だったなと。ちなみに地下区間での発車メロディーは「エリーゼのために」だった気がする。BVE2のシステムの関係上、メロディーが鳴り終わる前にドアが閉まるときがあったので、発車したタイミングで「ドアが閉まります」って放送のかかる事案が割と多かった。当時は気にならなかったけど。
上記の架空路線、全部知っていて運転したことあるぞ!って人いたら、超喜びます。
また当時から、フリー素材を提供していただく方も多くおりましたが、今はかなり減った気がします(製作環境がcsvから3dソフトに変わった影響か)。逆に、車両データ単体公開の制作者は、BVE5の発展と共に増えていったなと。かつての25m縛りだった路線制作も、0.01mでの設置が可能になるなど幅が広がった影響か、架空鉄道より実在路線を作る人が圧倒的に増えて、気づけば架空鉄道製作者は肩身の狭い気持ちに…。製作ブログを毎日チェックし、公開されたらダウンロードして遊ぶ、あの頃が懐かしく感じると同時に、ちょっと寂しい。
◆BVE5となって最近思うことと自分自身の変化
公開していた時期は、SNSにYouTubeというツールが発達しておらず、作者各々は「自己満足で公開し、評価が気にならない程度の余裕があったから、自由に楽しんでいた」という印象が強いです。オフ会は存在していたと思うんですが、オフ会の「オ」の字すら知らない人間だったので、ただひたすらに一人で黙々と製作し、遊ぶのがBVEだと思っていました。ぶっちゃけると、その気持ちは今でも変わらず(一時期忘れて、また最近戻ってきた、という表現が正しいか)。TwitterのRTいいねの為だけに動いているだけじゃ、そりゃ気力が持たないです。自分もそう。今は簡単に評価コメントが共有できる時代になってしまい、高評価に加えて狂気も同時にあてられ、それで心犯される作者も数知れず。人によっては同人作家を兼ねてる人もいますし、ちょっとした発言がキャンプファイヤーになるので余計に疲れ、それが創作にも影響を及ぼします。
一番心をえぐったのは「BVE2時代から活躍する作者」が、インターネットネイティブ世代に「あの人また(ネガティブな言い回し)してるよ」と、尊敬の意もなくただ冷ややかに後ろ指を指されていた事。ネットだから何してもいいというのは場違いだけど、自分ですら錯乱を起こしてしまうぐらいですから、それだったらいっそ「SNSでリアルタイムな発信はせず黙って作業していたほうが得策だ」となり、能登半島地震でのデマ発信が後押しとなった結果、俺はTwitterから卒業できたわけです。一時期データ配布のために戻ってきてたんだけど、また毒されてきてヤバいと感じて「今後もお世話になる人」へ挨拶してから立ち去りました。
一周回って、20年選手の自分にピッタリだと改めて思い知らされたのは「個人サイト」で「制作日記をhtmlで手作り」し「SNSでの発信をほぼ辞め」て、データを制作する環境を昔の状態に近づけることでした。そんでもって、評価コメントは「リアルでお会いした人たちに重きを置く」。
甲北線のDM限定配布(乞食覚悟のリプライによる抽選形式)をおこなった数日間は、本当に必要としてくれている運転手の皆様からメッセージを頂き、まことに幸せな時間を過ごすことが出来ました。「BVEの作者として苦労した甲斐があった」「架空鉄道も認められていた」という事実をようやく受け入れられ、自信がつきました。なので、ネットユーザーを一律排除したいわけじゃないけど、この余韻が運転会を経てもまだ続いているため、しばらくは飽和状態にならないようそっとさせておいてください。※Twitterアカウント自体は消えてますが、頂いたコメントはすべてスクリーンショットで保存させていただいてます。
◆それでも良かったことはある
でんちょく氏主宰のオフ会でも「BVEはいつごろから始めたのか」という話題がありましたが、皆さん2010年後半以降が多く。話を振られたときは素直に「2005年です」と伝えるとものすごく驚かれました。インターネット老人会の人間です、否定はしない。その日は自分の他にも、BVE2時代から路線データを作り続けているレジェンドが参加されていたので、"データ軽量化"の話を出来たらなと思ったんですが、結局忙しくて情報交換できず。積極的に話に行く度胸が足りない人間性なのでちょっと悔やみました。それでも生来の「一人で作る」時のほうがモチベーションはかなりデカいので、今後も自力解決するでしょう。最近の奥羽本線についても、運転士の皆様から面と向かってフィードバックをして頂き、おまけに主催のでんちょく氏本人からは「期待してるんですよ」などと、とんでもない圧を受けてしまったので。
同人界隈(またその話か)でも、サークルスペースでその話があったら死ぬほど喜ぶことがあるし、逆に自分がそう伝えるよ相手も喜んでくれる。褒めあうのって大事。
ちなみに「誰かと協力して作品を作る」という姿勢には消極的で、せいぜい他者が自身の作品に関わるのは、あくまでも「必要最低限」で「それ以上に深い関係は無い」というのが基本です。過去に様々な場所でコラボ→炎上の現場を見てきたので、それならひとりで黙々と…という気持ちでした。ところが甲北線にて「国鉄風なアナウンスがあるといいなー(要約)」などとYouTubeでぼやいていたところを「私にやらせてください!」と恐れず自ら役を買って出てくれた人がいまして、しばらくは懐疑的だったことから「パッチデータ」扱いで公開していました。ところが箱を開けてみたらビックリ、クオリティが予想以上だったので、後日より正式に本データ化に。この時のやりとりがなければ、多分今もアナウンスの実装なんて無かっただろうし、奥羽本線のアナウンスや、同人創作「StaffRoom」で声優さんに収録をお願いする、なんてこともなかったわけです。スミスも居なかった可能性がある。
特別すごく感謝してます。
◆電車でGOが遊べなかった貧乏人の見解
なんだろう、初期から遊んでいた人間としては、BVEはアンダーグラウンドで、知る人ぞ知るマニアックなゲームととらえていて、それに対するのが電車でGOでという認識。
ライト層=電車でGO
コア層=BVE
それがいつの間にか、SNSの発達と共にユーザー層が広がり(主に低年齢層に認知される機会が非常に増えた)、再現鉄・模擬鉄といった新たなジャンルが現れ、テレビ取材を受けて注目されたり…。趣味としてホソボソやっていた枠から抜け出して、大衆に認知されつつあるというのは、正直自分としては複雑な気持ちである。でもこれはきっと、最近BVEを触り始め、製作を始めたって人にとっては老人も同然の考えなのだろうな。鉄道の運転を文化としても残すのは全肯定ですが、逆に「無料ゲームとは?」という哲学じみた思考実験に陥ってしまう訳です。つらいぜ。
路上ライブで、誰にも注目されなかったアイドルが、数年経過して日本武道館に立つほどメジャーな存在になった、みたいな感じ。
◆面倒くさいけど、やめられない
宮崎駿監督の名言に「めんどくさい」がありますが、生きとし生けるもの、"創る"という行為は面倒で、面倒なのにそれでも続けたい、面倒くさい人間。人はめんどくさくても創りたいものがあり、その山の頂を渇望してます。
BVEも、そうやって今後様々な困難に直面すると思うけど、俺は多分それでも作者とユーザー両方で今後も続けていくと思う。たとえ周りの同志がどんどん脱落していっても。若い世代が新たな側面から新境地を開拓し、追い越されようとも。
◆さいごに
奥羽本線(山形線)、青陽電鉄を引き続きよろしくお願いします。多分この2路線は、自分にとってBVEのある生活として集大成の作品なので、大切にして半永久的に公開を続けていく所存です。今まで公開した中でも取り下げた作品が多いので、あんまり信用されていないと思いますが。オフ会を通して生の声が聞けたのは、20年間活動していて本当に貴重な経験だったので、生きている限りはもう少し頑張ってみようと思います。
すべては自分の作品が、かつて作品を生み出していった人たちのように、みんなの記憶に残るように。 -
◆「Staff Room」長編企画キックオフ/作品解説創作「Staff Room」において、はじめての長編ドラマ作品へ挑戦します。これまでに、ちひろ単独・すみれとの掛け合い動画を投稿していきましたが、先日物語の脚本が1本書きあがりまして、文字数は全体でおよそ20,000文字。サークル「子供連合」としては久しぶりの大型企画です。
Pixiv内では、ちひろくんとスミスのイラストを追加で数点投稿してきました。大人バージョンに加えて、セーラー服(学生時代)のイラストを出していますが、ふたりの学生時代のお話を、"財力"に"余裕"のある"今この絶好の機会"を使って、世に送り出したい所存。アンダーグラウンドな二人組の出会いから現在に至るまでを、演劇やドラマ仕立てでお送りする予定です。もし興味ありましたら、コンテンツ「Staff Room」をご覧ください。今後も随時更新していきます。
◆現在の活動
4月初め、看板娘ひとりで切り盛りしていた一次創作に、新キャラ「亘李すみれ」が加入しました。彼女が登場してから、財源状況回復の後押しもあり、精力的にボイス作品づくりを行っています。ニコニコ動画とPixiv内のみでの活動となっており、長らく艦これの二次創作をしていた身としては、閲覧数の急激な低下が目に入るわけですが……。とはいえ、演じてくださっている"ちひろ"役の宇沙美リトさんや、"すみれ"役のJiRさんからは「楽しく演じています」とおおむね好評をいただいております。しかしながら、同人作家の端くれ。そして一次創作の中でも特に色々話が絶えない「うちの子」界隈です。アニメ化や小説化などは夢のそのまた夢であり、自分自身でネタを供給しないと推し活が出来ず、もはや「御死活問題」。ボイス作品の軸には「埼玉県」と「水曜どうでしょう」の力を借りているので、ゆくゆくは材料をすべて自分で拵(こしら)え、純度100%のオリジナル作品が作れたらなーと、これまた夢ばっか見ているわけです。もう30代という社会からすれば「いいお歳」。なのに、創作への熱意は冷めるどころか、新たな道へ向かって開拓しまくり。第二の北海道開拓時代です。(長編企画はそんな最中で立ち上がったため、まだ見ぬ世界です。全部に対して頑張ろうという気持ちでないと多分やすやす折れてしまいそうで怖い)いずれは一次創作メインのイベントなんかでグッズとか出したい…。
◆「ちひろ」と「すみれ」
トップのイラストで、ちひろは左、すみれは右です。
ちひろは元々、Twitter内の診断メーカー「JK化診断」で生まれたキャラクター。なので、初期の名前は「いしだちゃん」ですが、自分自身が女体化したりバ美肉したりするのが嫌だったので、しばらくは単純に「うちの子」「看板娘」と呼んでいました。その後しばらくして名前を与えて、細かくキャラデザを整えていった結果が現在の姿です。さらに声が付いてイメージが定まったことにより、最近では新たに「笑顔が可愛い」という情報が付加されました。ボイスコで数ある声優さんから宇沙美さんを起用した決め手は、サンプルボイスでの「笑い声」でした。この文字では書き出せない、素直で純粋な笑い声がちひろに定着したことで、笑顔が可愛いという隠れた「尊いポイント」を探り当ててしまったわけです。ちなみに相方の すみれは、このことをあえて本人には伝えていません。
すみれは、仕事中に手癖で描いた落書きをそのままデジタルに落として生まれました。複雑で細かい装飾が苦手な人間なので、割といろんなところで見かけるような感じのキャラになりましたが、あえて言うなら特徴は泣きボクロ。見た目や雰囲気はお姉さん系の部類ですが、学生時代バージョンではすごく「お嬢様」なイメージに。JiRさんのおかげで、かなり味のあるキャラとなりました。すみれもとい、スミスはちひろの引き立て役兼、引っ張りポジションな人物なので、見た目に反して性格はアグレッシブです。
◆新作紹介
引き続き、水曜どうでしょうネタです。前述のボイスドラマの件もあり、掛け合い動画を実験的に製作したもので、その第二弾となります。
ちひろの「ハスキーながら不思議と癒し系な声、隠しきれていない可愛らしさが残る演技」と、すみれの「節々に現れる力の入った発声・滑舌と、ヒゲに寄せた演技(これ実は本人のアドリブ)」に注目。後半のスミスはもはや笑ってるだけですが、それだけでも面白い。
基本的に音声は自宅収録となっているため、ひとつのスタジオに集まって、台本を片手にその場でアフレコする……というスタイルを取るのは事実上不可。なので、攻め×受け、ボケ×ツッコミのように"役割"を予め固定し、演技の"ベース"となる音声を先に収録。それを一旦編集で動画に落とし込み、相手に確認してもらったうえで収録してもらう手法を用いています。手間と時間はかかるんですが、先方の演技を可視化することで、受け手側が陥りやすい"演技迷子"の軽減や、時短対策としてリテイクを極力抑えることも狙いです。残りは自分自身の作る台本の誤字脱字や、情報の不備を減らすことに集中する……といった具合。結局はすべて自分がしっかりしていないといけない責任感。実績作りは最初の壁が高いんです。 -
◆People In The Box
6月です。People In The Box といえば、六月。
無限会社の社員になり10年が経過しましたが、ここで改めてアルバムを再評価してみようと思う。殆ど個人の主観であり、頻繁に聴くアルバム・あまり聴かないアルバムの差が出てきてしまうことを留意。かなり多いので簡潔に。
リスト
1.Rabbit Hole
2.Frog Queen
3.Bird Hotel
4.Ghose Apple
5.Sky Mouth
6.Family Record
7.Lovely Taboos
8.Citizen Soul
9・Lost Tapes
10.Ave Matelia
11.Weather Report
12.Wall, Window
13.聖者たち
14.Calm Society
15.Talky Organs
16.Things Discovered
17.Kodomo Rengou
18.Tabula Rasa
19・Camera Obscura
1.Rabbit Hole ☆★★★★
これまで聴き込んでいたアルバムの傾向を真っ向から否定するように、終始大人しいテンポの楽曲ばかりで、噛めば噛むほどクセになる系のアルバムだったなと。ニコニコ動画で「鍵盤のない、」の演奏を視聴して、ギターが面白いリズムを刻んていて印象的。捨て曲無しでコンパクトなので一番好きな曲を選ぶことができない。M1の静かなスタートも、M2の丁寧に繋いでゆく流れに、M3の壮大なコーラス、M4で後半戦スタートの合図、M5とM6はよくカラオケで歌うので(M1も含む)、割とお気に入りではある。この時から既に世界観が出来上がっていると振り返すと、インディーズながら完成度の高さに恐ろしさを感じる。
2.Frog Queen ☆★★★★
M1「はじまりの国」のMVが怖いと話題になっていた。怖いというよりは、暗い。なんとなくではあるが、MVの雰囲気は凛として時雨の「illusion is mine」に近いものを感じた。前作がポストロックなら、このアルバムは「オルタナティブロック」であり、ピープルデビュー後、初めての覚醒という立ち位置。M1~M2でテンポを上げてゆく流れが好きだ。各曲がバランスよく配置されており、代表曲を除けば「失業クイーン」「泥の中の生活」「六月の空を照らす」の一連の流れがお気に入り。ラストM9の「一度だけ」は弾き語り(しかも雑音も一緒に録音している)。このような形態での収録自体「一度だけ」だよという意味もこもってるのだろうか。
3.Bird Hotel ☆☆★★★
ライブ終幕定番の「ヨーロッパ」が収録されているアルバム。俺は「完璧な庭」より「海抜0m」のほうが圧倒的に好き。爽やかで瑞々しく、夏の涼しさが同居しているイメージ。もちろんヨーロッパも好きだが、アルバムを通して聴くことは割と少ない。
4.Ghose Apple ☆★★★★
曜日で曲が区切られていることに、当時は他に見たことが無かったので斬新だと感じた。アルバムジャケットが真っ赤で、歌詞から感じるのは「メンヘラ」。このアルバムもどれが好きかと言われたらかなり悩む。カラオケでよく歌う点では「金曜日」かな。メロディや雰囲気は「月曜日」もいいが、当時は時雨の「Still a Sigure Virgin?」や「just A moment」あたりがドンピシャだったので「火曜日」も良い。日曜日は歌詞を読んで張り裂けそうな気分だったし、読後っぽい感覚で虚無感感じた部分もあった。
5.Sky Mouth ☆☆★★★
卵料理が食べたくなるジャケット。なにかと暴飲暴食的な食欲を刺激されるシングル。ニコニコ動画に上がっていた「冷血と作法」がとても好き。間奏のメロディが歪んでいてカッコいい。この1曲だけ聴くことが多い。
6.Family Record ★★★★★★
ザ・傑作。「すごいアルバム」だと本気で思った。ピープルを誰かに勧めるならこれを真っ先に勧める。ここから前作、続編、どちらに進んでもその人をピープル沼に沈める自信がある。旅行趣味なので、旅のお供に聴くことも多かった。このアルバムの頂上は「旧市街」。ピープルというバンドを世間に知らしめた不朽のロックナンバー。MVも含めてPeople In The Boxというバンドのトリッキーな面が全面に押し出されていてエグい。カラオケでも頻繁に歌う。特に後半の「スルツェイ」「JFK空港」「どこでもないところ」は余韻と読後感が長く続く。
7.Lovely Taboos ★★★★★
俺的には前作「Family Record」の外伝だなと思った。というのも、このシングルは、シングルであるものの3曲とも主張が激しく、これまでの3人でできる事全てを詰め込んだ感が強いから。特に2曲目「市民」はギターボーカルがとにかく忙しい。必聴。いい意味で吹っ切れていておかしい。
8.Citizen Soul ★★★★★
People In The Box 第二部開幕。これまでエレキギターに重きを置いていたギターサウンドに変化が。アコースティックギターでの演奏頻度が上がり、これによってメロディーはよりクリアで繊細な音を刻み、波多野自身の声色も合わさり、より解像度が上がったなと思う。とはいえ、相変わらず不思議で難しい曲が多い。メインナンバーと思われる「ニムロッド」は芥川賞作品のタイトルにもなっているし、二コラとテスラはドラムのリズムが一瞬無音になるし、面白いがすぎる。汽笛のイントロのカラカラ音も好きだな。環境音にヒグラシの鳴き声が入ってる「親愛なるニュートン街」のおかげで、このアルバムの季節感は"夏の夕暮れ"。
9・Lost Tapes ☆☆★★★
若干「Lovely Taboos」に戻ってきた感がある。このシングルには隠しトラックがあり、タイトルは「悪魔の池袋(24時ver.)」。なぜかブクロ。「見えない警察のための」が洗剤を買いに行く曲だと聞いて笑った。単体で聴くことが多いかな。
10.Ave Matelia ★★★★★
本格的にハメてきたアルバム。俺のピープルはこっから。曲全体が夏っぽい、そして肉的な気持ち悪さも同居して、ジャケットが「血」に見えてくる。本当はスムージーらしいけど。明確にこのアルバムの中で一番好きな曲は「さようなら、こんにちは」である。ラストサビ、風に背中を押されるような、爽やかな開放感を味わえる。カタルシス効果だね。
11.Weather Report ★★★★★★
摩訶不思議ですごく面白いアルバムだった。全21曲1トラックで合計70分もあるので勧めるには難しいと思うが、これまでのフルアルバムを聴いたうえでコレに手を出してみるといい。「ようやくピープルについて分かった気がする」というリスナーを思いっきり置いていきます。まるでピラミッドやアラビアの砂漠地帯を冒険するかのように、イメージ「灼熱の砂漠地帯とウルルの岩山」。M1のイントロから初っ端シタールなので、この時点で今までのアルバムとは一味も二味も違うと突きつけられる。不思議な曲ばかり、一度使ったメロディが、別の曲にテンポアップして登場したり、歌詞が意味深だったり、なぜか地元で聴きなれた東急目黒線っぽい音が聴こえてきたり(皿)。気軽に中東や北アフリカ方面のミステリーツアーが楽しめます。余談だけど「大陸」のナレーションが安田顕っぽい。
12.Wall, Window ★★★★★
前作で砂漠の旅行が終わり、オアシスに辿り着いたかのよう。今までと比べてスッと聴きやすく、それでいて優しい歌声。それもそうで、このアルバムからはピアノがメインで登場するから。このアルバムもイメージは夏。いままでとは違い、読後は憑き物が落ちるみたいにスッキリできる。ミントですミント。しょっちゅうアルバム単位で聴くので相当気に入ってるものと思う。特に「翻訳機」「手紙」「さまよう」と「もう大丈夫」「月」が好きだ。「彼女を守るのが君だけの使命」って、今までのピープルからじゃ考えられないような素直な歌詞だし。幽霊林檎の時に比べるとなおさらに。
13.聖者たち ☆☆★★★
東京喰種の主題歌だけに、カップリング曲もダークで重々しい。音は反響しておりイノセントな感じ。曲はメリハリが少ないので、そのせいか中々覚えられない。当時はこの曲でピープルを知ったが、翻訳機共々刺さらず。ところが後日からNEVERまとめというサイトで各アルバムを紹介している記事があったため、そこからどんどん好きになった流れ。「聖者たち」と「Wall,Window」の良さを再確認したのは、かなり先になった。
14.Calm Society ★★★★★
ピープルという存在を知った頃は、これが新譜だった。ライブ会場でしか売ってないとのことで、なかなか聴く機会を得られなかった。その後ライブに参戦した際にグッズ売り場で発見したため購入。「ダイゴマンの部屋」で聴きなれたメロディの正体はこれだったか。M1「海はセメント」のイントロ、これパチンコ屋から聞こえてくる音に似てる。カラオケでも気に入ってよく歌っている。シングルの中ではリピート率もかなり高い。M2とM3も、これまでの季節的なイメージを持ったアルバムたちから一転して無季節かつ無機物感が強く、例えるとコンクリートむき出しのオブジェクト、と、海。わかりやすく言うならば、お台場の晴海ふ頭にある船着き場。
15.Talky Organs ★★★★★
めちゃくちゃ好きです。艦これの影響があったのかは定かではないが、歌詞にしろ音にしろ、どこをとっても捨て曲無しの傑作揃い。ファーストの「Rabbit Hole」と楽曲構成が似ているものの、オルガンの入り方、少ない音で厚み深みを持たせた音作り、暗→明への移り変わり、内なる秘めた暴力性と、セピア色に近しい青空と黄金色の麦畑を思い浮かべる「季節の子供」、完璧だ(マッドサイエンティスト風)。
16.Things Discovered ☆☆★★★
ベストアルバム。「木漏れ日、果物、機関車」は5月の暖かい雰囲気がある。今回の新曲は、より各楽器の持つ音色の良い部分を最大限活かせていると思う。ハイレゾ音源かな?と思っちゃうぐらい、まるで生演奏を聴いてるかのように、音がウッディーで自然的。ログハウスみたい。M2の「空き地」に関しては完全に別物。「沈黙」の再録版も、アコギの音がすごく生々しいし、より激しくなった「旧市街」再録版も、彼らリズム隊の強靭な土台があるからこそ成り立っていると言っても過言ではないくらい、安定していて凄い。後半3曲も音に対するこだわりが非常に強く、作業用BGMとして最適である。プレムジーク9月/東京は色んな意味で予想を覆された。
17.Kodomo Rengou ★★★★★★
同人サークル活動で元ネタになっているアルバム。「Wall,Window」の時のような爽やかさが消えて、季節感もまるっきりわからない。ベストアルバムやアニバーサリーイヤーを経て、メンバーの意識が変わったのだろうか、これまでに比べて格段にクオリティが上がった。無限会社がいい例だと思う。それぞれのパートにAとBと名付けたとしよう。まずAパートを単体で演奏したのち、次にBパートを演奏。その後間奏を経たラストでは、そのAパートとBパートが合体して、一つのメロディとしてリスナーを混乱の渦に巻き込んでいくわけです。ヤバイ、これは圧倒される。圧倒された。歌詞もメロディーも曲構成もなにもかも、これまでとは比にならないぐらいレベルアップしたアルバムだと思った。これまでの総仕上げとも取れるし、音作りにより貪欲さが増したとも。これに関しても「とんでもねぇアルバムがでたな」と読後に突き付けられた。おいしすぎて食べ過ぎてしまうアルバム。それが「子供連合」なのである。
18.Tabula Rasa ☆★★★★
西川口のライブハウスで聴いて、アルバムを購入して、ピープルに浸かった一日。そんな良き思い出があるアルバムです。子供連合が凄すぎて、こちらはなんだかやや「物足りない」という印象。懐胎した犬のブルースは名曲。もし聴く機会があれば、歌詞カードを読みながら聴くといい。いい意味でピープルの面白さに触れられる。
19・Camera Obscura ★★★★★
この記事を書いている時点での最新アルバム。こちらも歌詞カードを読みながら聴くことをすすめる。先行で発表された「螺旋をほどく話」はMVも相まって、余分な音を落としてよりミニマムに、3ピースロックバンドとして洗練された音楽性を示しており、成熟した中に成長性を秘めているかのような一曲だった。ダークサイドに落ちる間奏も音作りにこだわりを感じてすごく好きだ。で、発売前にトラックリストが解禁されれば何だ「スマート製品」「自家製ベーコンの作り方」「中央競人場」とかいう、タイトルからして既に面白そうな楽曲がいっぱい。それでいて聴くまで本当に予想がつかない。4年ぶりの新譜なだけに、期待値はそれだけ高かったんだなぁ。
ということでライブにも参戦し、このアルバムも沢山リピートした。特にM8~M9の流れで「ああピープルの新曲が終わってしまう」などと名残惜しく感じたのは初めてで、もっとたくさん新曲が聴きたい!と、これからもピープルを追いかけたいと思わせられた。
総評として、なにが言いたいかというと一言。
「ピープルインザボックス」はいいぞ。
これに尽きる。 -
◆BVE運転会参加報告
東京・門前仲町で開催された「BVE運転会2025 Tokyo in東京」へ参加してきました。17日と18日の2Daysですが、当方は2日目のみ参戦。1日目は懇親会もありましたが、後日参加組として前夜祭感覚で参加してみたかったなって思ったのはここだけの話。
20年間BVEに触っていて、このイベントに顔を出すのは初めてでした。というか、BVE歴20年というだけで驚く人が割と多く、ユーザー層が世代交代している感があって浦島太郎みたいだった。時代は移り変わっているんだなぁ、しみじみ。
というわけで初参加となったイベントですが、バーカウンターで飲食が提供されていたので、午前中はずっと飲んだり食ったりしてました。シミュレーターの行列は午後になれば落ち着くだろうと見込んで。なお、開催スタートの合図と同時に、スタッフ全員とその場にいる参加者全員で自己紹介タイムがありました。マイク越しに「山形線と青陽電鉄を作ってます、ぜひ運転してみてください」と宣伝しましたが、自分自身はアガりやすいのでしっかり伝わったかなと正直不安ではあった。杞憂で終わったので良かったけども。
甲北本線時代からプレイしてくださっている運転士の方が、意外と多かったです。架空鉄道の製作自体がかなり下火だなって印象の強かったネット上ですが、これがリアルとなると話は別で、やはりというか、ローカル線や東北地方・北陸本線を模した風景や路線づくりが刺さっていたようで、国鉄とJRがいい感じに合わさっているところに評価があったみたいです。架空路線を作る上では、「現実離れしすぎない」ことと「実在性の強さ」を軸としていたので、それが高評価に繋がっていたんだなと。
午後から運転に出撃。211系と京急800形のマスコンをいじらせてもらいました。正直に言うと「マジで楽しい」でした。211系のハンドルは操作し易い。本物よろしく金属製なので、スピーカーから出る音が運転台に振動として伝わるので、かなりの臨場感。総武・成田線は久しぶりの運転だったので、かなりたどたどしい操作でした。ですが、やはりというか「男は黙ってツーハンドル」の人間。ジョイント音で睡魔に負けるそうですが、気持ちよく運転させてもらいました。
つづいて、京急800形。写真は昔撮影したもので代用します。
2011年12月12日撮影。
操作の感覚ですが、ワンハンドルマスコン系はやはり硬い。というより、Pノッチからニュートラルに戻すときに「Nに入った」ことがわかるような感触が無いので、かなり手こずりました。運転しにくい。マジで。ただ、ブレーキはかなり効くので高速進入でもがんばれば止められるあたり、さすがダルマ。この車両が過去帳入りしているのはなんとも惜しい。
夕方に入ると、主催のでんちょく様による運転競技会(生配信)が行われました。私はカメラの映り込みを避けてずっと隠れてスマホから観戦していました。
恐れを知らぬ挑戦者、上には上がいると思い知らされる。皆さん上手いです。普段からキーボードで運転しているので、いざ本物に近いマスコンを操作するとなかなか上手くいかないのが悩みである。しかも800形のマスコンで京成3000形を運転するというエグい仕様。それに加えて「壊れたらどうしよう」という一抹の不安もあったので、もう少しマスコンに信頼を預けてもよかったかもしれない。
運転会全体を通して。ネットでの予約になりましたが、案内メールの時点でスタッフ側が「楽しんでもらいたい」という想いを込めているのがよく伝わってきました。ユーザーや作者間での情報交換や、参加して友達を作ること、シミュレーターゲームとしての文化、更にはバーを併設して飲みながら趣味の話に更ける、等々。今までにない刺激の数々でモチベーションがあがりました。生の感想を頂けたのは、本当に大きい。昔ながらの「知る人ぞ知る」時代のBVEに戻りたい気持ちもあるんですが、今は今で、これでいいのかもなって思ったり。哀しいなって思うこともあるけど、それすら愛おしく思える年齢に近づいてる模様。
強いて言うならば、ここは参加者全員が主役になれる場。2時代からcsvで孤独に作業へ向き合う開発者ですら引き寄せられる魔力が、ここにはあった。
「データを公開してもあまり感想を見かけない」などと。無理して話題を振ったのですが、プレイしてくださる方が多いと分かって凄く安心しました。こうやって自信を積み重ねるって大事。アンダーグラウンドに活動する無名側の人間ですが、主催のでんちょく様からも元運転士としてデータに関するフィードバックを頂けたので、時間を見つけては改善に取り組んでゆく次第(その代わりかなりハードルが上がってしまった)。関根→米沢の延伸については、ひきつづき山形線特設ページで改めて報告します。
というわけで、主催のでんちょく様、スタッフの皆様、そして「山形線」や「甲北本線」をキッカケにお声をかけてくださった運転士の方々、ありがとうございました。励みになります。
この場をお借りしてお礼申し上げます。